臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「ほら,帰んぞ」

「はいはい」



澪はめんどくさそうに言葉を返した。

でも,立ち上がる直前。



「みお,ほんとにそんなんじゃないから」



ちゃんと知ってて。


そう私に言う。

分かってるよと背中にかければ。

澪は分かってないよと私に行った。

私も帰ろう。

と立ち上がろうとした角度から,澪の手元が見える。

澪は何も持っていない。
所謂手ぶら。

お菓子も水も持ってない。

つまり,澪は一直線に私の所に来てくれたのだ。

つい,胸がざわついて,周囲を見渡す。

ピタリと止めた視線の先には。

手元を見つめて,友達に慰められている雫の姿があった。

仕方なさそうに肩を落とした雫が顔をあげる。

私は何故か,急いで視線を逸らした。