臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「…みおに何したの」



澪の怒った声に,夾くんは肩を揺らす。



「いや,その…」

「ちっちがくて,夾くんは何も悪くないの。ただ私が手を引かれるのに慣れてなくて,恥ずかしがっちゃっただけなの」



たかがそれだけ。

絶対そう思われた…

情けないお姉ちゃんでごめんね…

言葉を進めるにつれ,どんどん声が萎んでいく。



「別にみおは悪くないよ。1人で歩けるんだから」

「お,おー。ごめん,俺も急いじゃって」

「あれ,遅いと思ったら…何やってんの?」



澪に威嚇される夾くんをどうしたものかとおろおろしていると,とても呑気な声がした。

礼夢くんだ。



「お,みおさんいんじゃん。おーい,来たぞー」