臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

顔を覗き込んでくる澪は,明らかに距離が近い。

離れようとしても,少しの変化も見逃さないと言うようについてくる。

かっ…こいい……!

じっと見られて恥ずかしくて,隠したくて,私は力強く目を瞑った。

だって,だって!

学校で澪と顔を合わせることなど殆どない。

いつだって,私たちは姉弟だ。

それが,こんな風にされると。

ー普通の生徒同士みたいだ。

そう,思っちゃったから。



「みお?」



心配そうにされて,答えないわけにはいかない。

私は震える目蓋をゆっくりと持ち上げた。

澪は私を視界に映して,一瞬ピタリと固まる。



「ちょっと,ビックリしちゃっただけ」

「ビックリ?」



澪はがばりと夾くんの方をみた。