臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

昼休み。

私は昼食をとり終え,珍しく外に出ていた。

そろそろ本気で暑くなってきたな…

太陽を手で遮りながら,グラウンドへ向かう。

昨日は少し,どきりとした。



『好きだよ』



今なら言えるかな,そう思って言った言葉。

likeの意味かloveの意味か,自分でも分かってなかったけど。

そうしたら,何故か足を止めていた澪が,真剣な表情で。



『ほんとに?』



って返すから。



『ほんとだよ』



って。
私は,何も間違ってなかったはず。

でも,ちょっと声帯が震えて,つい目を逸らした。

そんな私を見た澪は,何かを堪えるようなため息をひとつして。



『みおはそーゆー所がほんとにずるいよね』



そう,言ったんだ。

怒っているような,何年もの恨みを詰め込んだような,冷たい声で。

どんな顔をしていたのかは,分からないけれど。