臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

それって,いつ?

訊ねるように見上げると,澪がまた,息だけみたいな笑い方をした。



「結婚式,みおもしたい派でしょ?」



当たり前。

そんな自信ありげな顔で,澪は私を見つめる。

~っそうゆう,こと,なの?

綺麗で憧れるウエディングドレス。

その式に必ず存在する,誓いのキス。

気が早い。

そう突っぱねてしまいたいのに,どうしても嬉しい。



「行こ,みお」



澪がずっと繋がってる私の手を引く。

行くって。



「どこに?」

「上。まだ話し足りないこと,一杯ある」

「うっうん。」



お義母さんをチラチラと確認しながら,ようやく私も足を動かした。

行ってらっしゃいと,無言で笑みを浮かべながら手をふりふりして,お義母さんはお玉に乗せた煮物を口に運んだ。