臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「うるっさい! 礼夢こそ…とんだお人好しなんだから」

「あはは,確かに」

「ったく,敵に塩を送るような真似しちゃって。…あんたは今,逃げられないから諦めるなって,そう言ったの,分かってんの?」



お人好しはどっちなんだか。

目の前の,ギンッと睨み付けてくる彼女はどうやら,俺の事を心配してくれているらしい。



「分かってるよ,その上で俺が貰うから関係ないの」

「どっからそんな自信が沸いてくるんだか」



雫はそうやって呆れるけど,そうじゃない。



「ん~,自信っていうか」



雫の頭がピクリと動く。



「決意? みたいな」



ヘラリと笑うと,雫はピキピキと青筋をたてた。