臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

       ー礼夢sideー


「ね,いいの? みおちゃん。澪見えなくなっちゃったけど」

「えっほんと! もう始まっちゃった!」



たかたかと俺の横を走っていくみおちゃん。




「あははっやっぱ好きなんじゃん」



そんな些細なことで漏れちゃうようなら,澪からは逃げられないよ。

ま,そこを俺が拐うんだけど。

ーザッ

誰かが陰から出てくる音。

こんなにタイミング良くやって来るのは,俺が知るなかでただ1人。



「なぁに? 雫は覗きでも趣味なわけ?」



俺は振り向くこともなく,そういって笑った。

だっていつも隠れてて,出るタイミング逃しちゃってるんだから。

世話ないよね。

そうやってからかってやれば,ほら。