臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

『たぶん,助からない。血がすごく出ていたし,何より心臓が止まってた』



意に反して,ぽろぽろと溢れる涙。

それでもくっと,目は開き,お義母さんを捉える。

お義母さんは信じられないという様子で,それでもそんな私を抱き締めた。

私はそんなお義母さんから自ら離れて,お義母さんを見つめる。

そして,深呼吸をすると……

お父さんによく似た笑顔を,ふわりと浮かべた。



『澪…?』



恐怖でしかなかったと思うけれど,困惑するお義母さんに,私は構わなかった。



『4年も,家族でいられなくて…ごめん。あいしてるよ』



お義母さんが目を見開いて固まる。

きっと何もかも伝わったはずだ。



『澪』

(れい)にも同じだけど…ちょっと着替えて手足と顔洗ってくる』