臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

私は,私を追うようにして,お父さんの元へ向かった。

私が,血なんて気にせず,お父さんの傍に座り込んでいる。



『お父さん! 目,あけて! 救急車,救急車誰か呼んでくれるから!!! お願い,頑張って!』



必死にそう叫んでいる私の目には,確実に加害者が映っていた。

顔を青ざめる男性を瞳に映して,悔しそうな顔をするも,とにかく今はとお父さんに声をかける。



『おとー,さん。お願いだから』



とうとう気張っていたその目に,涙が浮かぶ。

私は,絶句しているだけ。

それ以上,近づけはしなかった。

この後の事を,知っているから。



『お父さん!』



私は「え」と目を見張る。