臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

真顔で澪が言う。



『ハムもよろしく』

『「ふっ」』



夢なのに,自分と笑い声が重なって,私はさらに口角を上げた。



『じゃあ,約束な』



"約束"

家族全員の満面の笑み。

なのに,私は嫌な予感に手を伸ばす。

けれど,これは夢。

実際にあったことかも分からない,夢。

手なんて届くはずもない。

むしろ,余計な動きをしたせいで,目の前の風景が崩れていく。

ちょっと…!

今度は声もでない。

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気付いたらぼーっとしていて,私ははっとする。

自分のいる場所見渡して,焦る。

ここ,どこ…?

けれど,よく観察してみて,知っている場所だと気づいた。

友達と放課後の暇潰しによく出掛けていた公園から,家への帰り道だ。

私がるんるんで歩いている。

もしかしたら,さっきの続きなのかも。