あの頃抱いた焦りと不安の正体を,俺は今日ようやく知った。

あの時にはもう,澪には好きな人が居た。

俺は一緒にいるなかで,別れの予感を感じ取っていたんだ。

だから,多分もう一度告白なんてばかなことをしようとしたんだと思う。

()わせては貰えなかったけど。

俺が口を開いた時,澪は待ったをかけた。

そして,その時に俺はフラれた。



『別れたい』



俺の目を見て,泣きそうになりながらも泣かなくて。

はっきりと俺に告げた。

その後はあまりよく憶えていないけど,家に帰って,駆け寄ってきた妹にみっともなく泣きついた事だけは憶えてる。

あの時既に,全部終わってた。

やり直そうと動くには,もう遅かったんだ。