臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「ごめん。俺も,分かってたのに…ごめん」

「ふふっ。泣き虫なのは,変わってないね」

「ごめん。最後までカッコ悪くて。あの頃も,付き合ってはいたけど,澪に何かしてあげることも出来なかった」



それは,違うな。



「私は楽しかった。初めての彼氏が,菖で,あんなに優しい人でよかった」



もし,今日お別れして,また会えたなら。



「次会った時は,また2人でお菓子を食べよう? 菖の好きなもの,全部憶えてるから。それに,たい焼きを選んだのは,そうゆう事なんでしょう?」



たい焼きは,付き合い始めて最初に私が口にした,好きなものの1つ。

もったいないから半分こしようって言ったのに,好きな味で揉めたりもして。

きっと1番最初の思い出。



「……うん。ばいばい,澪」

「ばいばい……菖くん」

「ははっ懐かし」