臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

雫の言葉に,菖は顔を歪めた。

突然,知らない女子に土足で心に踏み入られたのだ。

こんな顔にもなるだろう。

比例して,申し訳なさで私の心も痛む。

雫の言葉は,私の言葉そのものだから。



「なにも」

「知ってるよ。私は澪の事。世界で2番目によく知ってる。もちろん,1番は菖くんじゃない」



雫は哀れみを込めた目で言った。



「もう一度言うね。菖くんは,もうとっくの昔にフラれてるの。出来ることなんてもうなにも残ってないのよ」



悲壮感漂う菖の瞳が,私を捉える。

針が心臓を刺すような痛みに見舞われるけれど,私が目をそらすわけにはいかない。

もうだめなのかと問う瞳に,私は瞬き1つして



「…ごめんね」



沢山の謝罪をのせた,言葉を渡した。