臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「菖,なんで」

「澪が,話があるなんて言うから。元々こうするつもりだったんだけど…」



首をかしげる菖に,私は違和感を覚える。

そう,私が精一杯伝えようとしている話を,かわそうとしているようにしか見えないのだ。



「それで,話って何?」



それだけで周りがざわついた。

私もそれで,腹を決める。



「考えたよ,でも,やっぱり菖とって言うのは考えられない」

「……どうして」

「好きな人が,いるの」



何故かその告白だけで,周りはもっと騒がしくなる。

噂を広めにいくように駆ける女の子を見て,それはちょっとやめてくれと思ってしまった。

澪には出来るだけ届けたくないのだ。