臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

話がある。そんな内容の返信をした後。

放課後が来るまで返事が返ってこなかった。

どうしよう……と困るものの,無理やり呼び出すわけにもいかない。

取り敢えず一旦帰ろうかと外に出れば,校門の前の人だかりに目を見張る。

女子の数からして,恐らく男子。

時たまにやってくる他校の男子に格好いい人がいると,たまに起きる現象だ。

私には関係ないといつも通り通りすぎようとすると,まさかの人だかりの中央から呼び止められた。

低くよく通る声。



「菖?」



間違えるはずがない。

姿が見えなくても。寧ろ何故菖は私が分かったのだろう。

立ち止まっていると,(女子)を掻き分けるように,菖が姿を現した。