臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

すっとスマホに目を落とす。



『いいよ。行こっか』



返信のマークを押す手が震える。

もういいやと目を瞑れば,なんだか押せそうな気がしてきた。

すっと息を吸って,吐いた時,背後から誰かの手に視界を塞がれる。



「もーいーよ。みおちゃん。頑張ったね」

「礼夢くん」



なんでいるの,こんな場所,滅多に人が来ないのに。



「探したんだよ,待ってても来ないから。見つけたら誰かと電話してたから,聞いてたの。他人の事情を身一つで受け止めて,頑張ったね,優しいね」

「違う,私が,最初に」

「あーあー。もう,みおちゃんってば泣いてばっかり」

「だって,もうどうしたら…うー」

「うーって笑」