そんな日は普段より幾分も早く手を合わせることになるし、沙織ちゃんが黙って見過ごすわけがない。
「もういいの? 全然食べてないけど……」
ぎくり、と分かりやすく絢斗が固まる。
「う、うん、お腹いっぱいだから」
「具合悪いの? 熱は?」
「だ、だいじょうぶだよ」
嘘がつけない絢斗はあからさまに目を泳がせ、助けを乞うように私を見やった。
その視線に気が付いた沙織ちゃんが、「分かった」と腕を組む。
「二人とも、ご飯の前に何か食べたでしょう。何を食べたの? ちゃんと言いなさい」
怒った沙織ちゃんは結構怖い。先に折れたのは絢斗だった。
「ら、……らーめん」
「ラーメン? お店に行ったの?」
「ううん。ななちゃんのお家にあったやつだよ」
首を傾げたままの沙織ちゃんに、私は「かっぷらーめん」と口を開く。
「お湯だけでつくれるらーめんだよ。あやちゃんが食べたことないっていうから……」
「カップラーメンなんてだめ!」
唐突に大きな声で叱られ、肩が跳ねた。
絢斗もびっくりした様子で目を見開いている。
「あんなの、添加物たくさん入ってて健康に悪いんだから! いい? 絢斗、もう食べちゃだめだからね」