ハロー、愛しのインスタントヒーロー



息を吐くように嘘が出てくる。
読むのがだるいだなんて、よく言えたものだ。毎日郵便受けを確認して、届いたらすぐに封を切って、隅から隅まで読んでいたくせに。どんなに読むのが辛くても、結局最後まで読んでしまっていたくせに。


「あんただって、途中からめんどくさくなってたんでしょ? やめるにやめられなくて、送ってきてたんでしょ? だから適当に近況報告しか寄越さなかったんだ」

「違う、違うよ……」

「じゃあ何で私の質問には一回も答えてくれなかったのよ!?」


抑えきれずに爆発してしまった。最後の問いかけは嘘でも冗談でもなく、本気で本音だ。
お腹の底から怒鳴ってしまい、私の声量に絢斗が体をびくつかせる。


「会いたいって言ったのに、いつ会える? って聞いたのに、はぐらかされた。住所も教えてくれなかった」


彼からの手紙には彼自身の郵便番号も住所も記載がなく、ただ彼の名前だけが記載されていた。
会いに行くこともできず、ただ悶々と月に一度の手紙を待つだけだった日々。その時は深く考える余裕がなかったけれど、今ならよく分かる。

絢斗は私に会いたいだなんて思っていなかった。むしろ逆だ。
会いたくないから、頑なに情報を渡さなかった。手紙を送ることで私を満足させていたのだ。


「それなのに、今更勝手に帰ってきて『会いたかった』なんて、ふざけないでよ……その言葉は、何年も前に私が欲しかったの!」