絢斗は全然変わらないね。でも、私はきっと、随分変わったよ。絢斗が会いたいと言っている私は、“ななちゃん”は、もうどこにもいない。
残念だったね、と内心苦笑する。
「……確かに、ちょっと寂しかったかな。奈々ちゃん、いつの間にかすっごい綺麗になってて、かっこいい人と並んでても何にもおかしくないくらい大人っぽくて、僕のこともう忘れちゃったのかなって、一瞬不安になったよ」
いつの間にか、知らないうちに。絢斗もそう感じていたことに、少しだけ驚いた。
彼からの手紙を読んでいた時、次第に寂しいとか辛いとか、そういう感情の割合が増えていった。
絢斗はもう私のことなんて、そこまで重要じゃなくなったんだ。新しくできた友達と楽しく過ごして、私のことなんか忘れてしまったんだ。そう思っていたから。
――あんなに何年も手紙を寄越す彼が、私を忘れているわけがないのに。
「ねえ、奈々ちゃん。どうしていきなり返事してくれなくなったの?」
絢斗は決して私を責めてはいなかった。ただ純粋に寂しい、悲しい、そして気になる、といったところだろうか。
近くの引き出しを開ける。そこには溢れんばかりの封筒が入っていて、全て彼からのものだ。
上から適当に一掴み分の手紙を持ってテーブルの上にぶちまける。
「これって……僕の?」



