金や銀、赤のオーナメントボール。ひいらぎとベルの飾り。それから、一番上に鎮座する星。
小さめなサイズのクリスマスツリーは、電飾がちかちかと光って随分と華やかだ。


「奈々ちゃん、下降りよう? 沙織ちゃん呼んでるよ。ご飯できたって」


今年は絢斗と再会してから初めて迎えるクリスマスだった。暮町家でパーティーをしようと半強制的に誘われ、先程から飾りつけの準備をしている。


「絢斗」

「うん?」

「絢斗は、私のために死ねる?」


あまりにも唐突に、そして直球に聞きすぎたからか、彼が目を丸くした。
それはそうだ。けれども一年前、問われた言葉がずっと頭の隅で息をしている。


『奈々は、俺のために死ねる?』


どんな答えが返ってきても傷ついてはいけない。自分で掘った穴だ。でもきっと、どんな答えが返ってきても傷ついてしまう。


「――何で?」


戻ってきたのは、なんとも呑気なトーンの疑問だった。


「百歳まで一緒に生きようよ。それで、しわしわだねって、お互いの顔見て笑おう」