ハロー、愛しのインスタントヒーロー



長い夜も、暗い未来も、二人でいたから越えられた。二人で一緒だったから。

守って欲しいと嘆くのではなくて、私がもっと強くなる。愛して欲しいと駄々をこねるのではなくて、愛されていることを受け止める。
それが、絢斗といるために私がするべきことだ。

全てを大切にすることはできない。妥協と諦め。現実と理想の埋め合わせ。

強くてかっこいいヒーローはいないけれど、私だけを真っ直ぐ見つめてくれる弱くて優しいヒーローがいた。
私だけを大切にして、私を一番に考えてくれる。ずっと、何よりも欲しかった“愛”を、惜しみなくくれる。

それでいいと思うのに、信じ切れなくて苦しい。
いつか終わってしまわないだろうか。体では繋がることができない分、きちんと言葉で伝えていけるだろうか。


「……だって、不安なんだもん……」


私は綺麗な愛し方を知らない。空虚な愛の言葉を信じられなくて体を重ねてきたような人間だ。
いらないふりをして言い訳までして逃げ続けた。そうしないと劣等感で死んでしまうから。


「こんなふうに誰かを好きになったことなんて……ないんだもん……」


井田くんが眉尻を下げる。なんだ、と彼の呟きが落ちた。


「ちゃんと好きじゃん、絢斗のこと」