ハロー、愛しのインスタントヒーロー



ぐ、と更に相手の指が腕に食い込む。


「絢斗があんたに『ごめん』って言うのに、どんだけ勇気出したと思ってんだよ。あんたも幼馴染なら分かるだろ。分かれよ」

「うるさい!」

「聞けよ、逃げんな!」


井田くんが立ち上がる。視線がかち合った。


「あんたのはただの我儘だろうが! これが嫌だあれが嫌だって、子供でも言えるぞ! 好きなら全部受け止めてやれよ、今度はあんたが歩み寄ってやれよ、それができないのに一丁前に傷ついてんじゃねえよ!」


覇気のない声を、震えていた背中を、揺れた瞳を、苦しそうな笑顔を思い出す。
どんなに体が成長しても、幼馴染のままではいられなくても、絢斗は絢斗だった。いつも私の後ろをついてきて、へらへら笑って、すぐに泣く。

本当はそんな泣き虫なヒーローなんて嫌なの。喧嘩も強くないし方向音痴だし、私の方がしっかりしてる。
ピンチの時に颯爽と現れて助けてくれるような、強くて優しいヒーローがいい。

でも、そんなの今更だ。私は絢斗を好きになってしまった。
こうであって欲しいとかこうなって欲しいとか、挙げたらキリがない。私は欲張りだから、絢斗が世界一のスーパーヒーローになったって百点はあげられないんだろう。


『二人でいれば、なんにも怖くないよ』