結局、二人でファストフード店にやってきた。
井田くんに限って変なことは起こらないだろうし、彼と話すのもこれが最後になるのだろう。
お腹は空いているけれど、食べる気にはなれなかった。ドリンクだけを注文して席に着く。
「俺さ、此花さんにずっと言ってなかったことがあるんだ」
そう告げられ、なぜか腑に落ちている自分がいた。
井田くんはきっと正直に真っ直ぐに生きてきた人で、それなのにいつも何を考えているのかいまいち掴めなかったのだ。見えない部分が、彼の敢えて見せてこなかった部分なら、納得できる気がした。
「俺、絢斗と友達なんだよね」
「……え、」
「暮町絢斗。高校同じなんだ」
そう何人も同姓同名の人物がいるわけがない。彼が指しているのは、私のよく知っている絢斗で間違いなさそうだ。
「実は、絢斗からずっと聞いてたんだ。“ななちゃん”のこと。だから此花さんがその“ななちゃん”だって分かった時、びっくりした」
絢斗と井田くんが友達だったことも、井田くんがびっくりしたことも、私にとっては些細なことにすぎない。
それより何より、私にはどうしても聞きたいことがあった。
「……絢斗は、私のことなんて言ってた?」



