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たとえ誰かが死んでも朝は当たり前にやってくるし、社会は素知らぬ顔で回り続ける。
つまり私の心が生きてようと死んでようと、時間の経過は容赦ない。
夏休みが明けると、書類の提出や採用試験に追われた。そこからあっという間に選考、内定と進んで、やっと一息ついた頃、暑さはすっかり落ち着いていた。
「此花さん、就職先決まったんだって? おめでとう」
バイト終わり、およそ二か月ほど顔を合わせていなかった井田くんに出くわした。勝手に気まずいと思っていたけれど、向こうはあまり気にしていないようだ。
「今日って、井田くん出勤じゃないよね」
何でいるの、というニュアンスが伝わってしまったらしく、彼が苦笑する。
「あー、俺さ、先月でここ辞めたんだよね。今日は制服返しに来た」
「……そうなんだ」
この一か月は私の方もあまりシフトを入れていなかったから、全然知らなかった。最後に一緒に働いたのはいつだったっけ、と首を捻るも思い出せない。
「お世話になりました」
「はは、堅苦しいのやめて。まあ、でも、うん。お世話になりました」
頭を下げ合って、僅かに沈黙が流れる。
「此花さん」
妙に畏まった呼び方をされて、違和感を覚えた。井田くんが小さく息を吐く。
「この後、ちょっと時間ある?」
たとえ誰かが死んでも朝は当たり前にやってくるし、社会は素知らぬ顔で回り続ける。
つまり私の心が生きてようと死んでようと、時間の経過は容赦ない。
夏休みが明けると、書類の提出や採用試験に追われた。そこからあっという間に選考、内定と進んで、やっと一息ついた頃、暑さはすっかり落ち着いていた。
「此花さん、就職先決まったんだって? おめでとう」
バイト終わり、およそ二か月ほど顔を合わせていなかった井田くんに出くわした。勝手に気まずいと思っていたけれど、向こうはあまり気にしていないようだ。
「今日って、井田くん出勤じゃないよね」
何でいるの、というニュアンスが伝わってしまったらしく、彼が苦笑する。
「あー、俺さ、先月でここ辞めたんだよね。今日は制服返しに来た」
「……そうなんだ」
この一か月は私の方もあまりシフトを入れていなかったから、全然知らなかった。最後に一緒に働いたのはいつだったっけ、と首を捻るも思い出せない。
「お世話になりました」
「はは、堅苦しいのやめて。まあ、でも、うん。お世話になりました」
頭を下げ合って、僅かに沈黙が流れる。
「此花さん」
妙に畏まった呼び方をされて、違和感を覚えた。井田くんが小さく息を吐く。
「この後、ちょっと時間ある?」



