今までくれたどの言葉よりも綺麗な告白だった。その純度に、白さに、恐ろしくなる。
絢斗から伝わってくる想いはいつだって真っ直ぐすぎた。そこに温かさはあっても、熱がないのはもう分かっていた。

ねえ絢斗、それは本当に恋かな。


「……好きなら、あんなふうにキスを避けたりしない」

「びっくりしただけだよ」

「嫌がってたのに?」


問い返せば、絢斗が息を呑む。――ああ、むごい。それが何よりの答えだ。


「絢斗は、私とキスできないんだよ」


向こうに言い聞かせるために放ったのに、自分で傷ついている。あまりにも滑稽すぎるから、誰か私を笑ってやって欲しい。


「キスできないと、したいと思わないと、好きって言っちゃいけないの?」


そう尋ねてくる絢斗に、とうとう我慢できなくなった。いい加減にしろ、と感情のままに怒鳴りつけようとして、彼の顔を見て、声を出せなくなってしまった。


「僕、奈々ちゃんのこと、誰よりも、世界で一番、大切にしたいんだよ。守りたいんだよ。ひとりじめしたくて、そばにいたくて、……でも、キスとかそういうの、僕は分からないから、」


きらきらと光るのは、絢斗が流す、きっとこの世で一番澄んだ涙。


「手を繋げたら嬉しいし、目が合ったら胸がぎゅうって苦しくなるんだ」