*
「ななちゃんに会いたい」
荷解きが終わって二日後に、自然と口から零れた。
キッチンからすぐに沙織ちゃんの答えが返ってくる。
「絢斗。もうななちゃんとは会っちゃだめ」
振り返っても沙織ちゃんとは目が合わない。
「どうして?」
「どうしても。ななちゃんだって、絢斗がいつまでもついて回ってたら大変でしょう」
「でも、ななちゃんと約束したよ。ずっと一緒にいるって。僕、約束やぶっちゃうよ……」
別れ際、奈々ちゃんは泣いていた。今まで奈々ちゃんが泣いているのを何度か見たけれど、あの時が一番苦しくて辛かった。僕のせいで泣いているのが分かったから。
また泣いてないかな。一人で我慢してないかな。もしそうだったら、今すぐ飛んでいきたいのに。
「……だめ。いい? これは絢斗のためなの。ななちゃんからは卒業しなさい」
どうして、何で、といくら聞いても答えは変わらなかった。
納得はできなかったから、お父さんにこっそり頼んで奈々ちゃんの町まで車に乗って行こうとしたこともあった。でも沙織ちゃんにばれて、ものすごく怒られた。
「私はね、絢斗のためを想って言ってるの。絢斗が好きだから怒るのよ」
「ななちゃんに会いたい」
荷解きが終わって二日後に、自然と口から零れた。
キッチンからすぐに沙織ちゃんの答えが返ってくる。
「絢斗。もうななちゃんとは会っちゃだめ」
振り返っても沙織ちゃんとは目が合わない。
「どうして?」
「どうしても。ななちゃんだって、絢斗がいつまでもついて回ってたら大変でしょう」
「でも、ななちゃんと約束したよ。ずっと一緒にいるって。僕、約束やぶっちゃうよ……」
別れ際、奈々ちゃんは泣いていた。今まで奈々ちゃんが泣いているのを何度か見たけれど、あの時が一番苦しくて辛かった。僕のせいで泣いているのが分かったから。
また泣いてないかな。一人で我慢してないかな。もしそうだったら、今すぐ飛んでいきたいのに。
「……だめ。いい? これは絢斗のためなの。ななちゃんからは卒業しなさい」
どうして、何で、といくら聞いても答えは変わらなかった。
納得はできなかったから、お父さんにこっそり頼んで奈々ちゃんの町まで車に乗って行こうとしたこともあった。でも沙織ちゃんにばれて、ものすごく怒られた。
「私はね、絢斗のためを想って言ってるの。絢斗が好きだから怒るのよ」



