ハロー、愛しのインスタントヒーロー



苦しいくらい締めつけてくる絢斗の力加減が、今は心地いい。女の子の抱き締め方を知らない、女の子の扱い方を知らない、私だけを大切にしてくれる男の子。


『奈々は、俺のために死ねる?』


去年のクリスマス、ある人にそう問われた。
彼は私と同じように底なしの寂しさを背負っていて、その温度を埋めるために何度も体を重ねた。一緒にいて欲しいと言ったら、朝までそばにいてくれる優しさもあった。

でも、優しすぎるのだ。結局最後には、私ではない大切な人を見つけて離れていった。私へ与えた優しさを忘れてしまったかのように。

みんな、そうやって一つずつ消えていく。


「絢斗、」


私は誰かのために死ぬなんて御免だ。もし仮にどうしても死ななきゃいけないのなら、それは自分のためがいい。


「絢斗は、私のために――」


怖くて二の句を継げない。死ねる、と言われても、死ねない、と言われても、満足に笑える気がしなかった。


「どうしたの?」

「……ううん」


不安と恐怖と高揚で眠れない夜に、振り切って彼の背中に腕を回す。


「何でもないよ」


ずっと一緒、と呟く。呪いの予感がした。