ハロー、愛しのインスタントヒーロー



みんな私を一人にする。使ったものを元に戻す、そのくらい当たり前の所作で背を向けていく。


「幸せに、なれなくてもいい……一緒にいたかったの……」


やっと思い出した。
みんなのしょうらいのゆめ。その冊子に書いた私の夢は、「かぞくみんなでいっしょにいること」。
お花屋さんでもケーキ屋さんでもアイドルでもない。もっと難しくて単純明快な願い事だった。


「……奈々ちゃん……」

「私が一人でいたら、みんな幸せなんだ! だからそう言うんでしょ……!」


強く抱き寄せられる。その動きに一切の躊躇はなかった。


「奈々ちゃんを一人にしない。幸せになれるよ。もしなれなかったら、僕がする」


優しさと怯えを捨てた両腕が、そんな傲慢なことを言う。
不思議だ。最初に抱き締められたときは優しかったのに怖くて、でも今は優しくないのに安心する。

全部大切、じゃなくて私だけを大切にして欲しいし、とびきり優しく、じゃなくて無理やりでもいいから奪って欲しい。なりふり構わず求められてみたい。どんなことがあっても揺らがず私だけを見ていて欲しい。
そうじゃないなら最後には捨てられてしまうから、優しい愛情なんていらないの。


「ずっと、僕がそばにいるよ。泣きたくなった時、絶対に離れない。僕が一緒にいるから」