力強く掴まれた腕が痛くて、もうこの人はきちんと私を傷つけることができるんだと今更ながらに思う。
痛くても何でもいいから、このまま攫って欲しい。もしそう伝えたら、絢斗はなんて言うだろう。
観念して腰を下ろした私に、絢斗の指先から力が抜ける。
「何か、あったんだよね。だから僕に電話してくれたんだよね」
咄嗟に縋ろうとした。何の見返りもなく助けてくれると思った。安易に手を伸ばして引き寄せては、また離し難くなっている。
「……お父さんに、会ってきた」
震える。心臓が泣いている。
父の手があの女の子の頭を優しく撫でる光景を思い出しては、苦しくて吐きそうになる。胸が割れるほど痛くて、泣き喚きたい衝動に駆られている。
「もう、私のこと……」
その先は言えなかった。
きっと一生忘れない。死ぬまで覚えている。脳内で反芻する度に全身が抉られて、毎回泣いてしまうだろう。
『もうお前を娘だとは思いたくないんだ』
私はただ、私を大切にして欲しかっただけだ。何よりも大事に、一番に想って欲しかった。
たったそれだけだったのに、そのたった一つを望むのは強欲なのだろうか。あの女の子は当然のようにその権利を得ていたのに?
「お母さんと離れろって言われた……私が、幸せになれないって」



