絢斗がやけにはっきりと言い切るから、思わず眉をひそめてしまう。
そんな私に、彼は少しだけ困ったような笑みを浮かべた。
「奈々ちゃんがちゃんとご飯食べてるのかなって、心配してたよ。……沙織ちゃんが嫌いなのは、むしろ僕の方だと思う」
全く、清々しいほど理解できなかった。
あんなに敵意をむき出しにしていたというのに、心配? 嫌いじゃない? どういうことだろう。建前上、絢斗に対しては私のことを大切にしている風に見せかけたかっただけだろうか?
それにしても、彼女が絢斗のことを嫌いだなんて、おかしな話だ。どこからどう見ても沙織ちゃんは絢斗のことを好いている。
私が黙って考え込んでしまったので、絢斗も口を噤んでいた。
「あ、ピピピって鳴った!」
しばらく続いた沈黙を破ったのはタイマーで、無機質な電子音が空気を変える。
考えても分かりそうもないことは放っておき、食欲に従って二人で手を合わせることにした。
「いただきます!」
「ん。いただきます」
蓋を開けた瞬間にスープの匂いが鼻腔をくすぐる。絢斗が醤油で、私が味噌だ。
「あつっ」
「ちゃんと冷ましなよ、猫舌なんだから……」



