ハロー、愛しのインスタントヒーロー



絢斗、それはね、いつか終わりが来てしまう感情なんだよ。
ずっと一緒にいたいと望むことはできるけれど、ずっと好きでいることはできない。好きになってしまったら、相手にもそれを望んでしまう。どんどん欲張りになって、溢れて零れて、最後は何もなくなってしまう。

残酷に、穏やかに、終わりを待つ始まりだ。


「私は、絢斗のことを、好きにはなれないよ」


大切にしたい。そばにいたい、いて欲しい。優しくして欲しい。怖い。
全部自分勝手だ。恋をするともっと自分勝手になるだろう。それがたまらなく怖くて恐ろしい。


「……ハグはやだ?」

「急にそんなことされても、びっくりするよ」

「じゃあ、一日三分、僕とハグしよう」


名案だ、とでも言いたげなトーンで絢斗が体を僅かに離す。


「慣れたらびっくりしないよ。そうでしょ?」

「……ヒーローだから三分?」

「うん!」


無邪気に笑う絢斗は知らない。恋なんてそんなに単純で明快なものじゃないってこと。


『この一年で絢斗との関係を終わらせて欲しいの。もうこの先、二度と会いたいだなんて思わないように』


意図せず彼女の望みが叶ってしまうかもしれない。
私が手を下さなくたって、絢斗が歩き始めた道はそういうものだ。緩やかに、私たちが終わりへと向かっていく道。