ハロー、愛しのインスタントヒーロー



こんなの八つ当たりだ。分かっている。
だけれど、本当のことだった。絢斗がどんなに私を望んでも、私を大切にしたいと言っても、それが本気でも。親に雁字搦めに縛られるほど私たちは子供じゃないし、親から完全に離れられるほど大人じゃない。


「それでも、僕はずっと、奈々ちゃんといるよ」


私の手を優しく握った絢斗の言葉に、ゆっくりと顔を上げる。そのまま振り返った途端、絢斗が私の背中に腕を回した。ぎゅう、と両腕が私の体を引き寄せている。


「大好きって言った。ずっと一緒にいるって言った。嘘じゃないよ。もう、嘘はつきたくないんだ」


今の状況が俄かに信じ難く、しばらく放心してしまった。
すごく驚いている。理解するより先に絢斗の腕が震えていることに気がついて、その震えが怖さと愛しさの狭間で揺れて、私の心臓を弱々しく叩く。


「絢斗の好きは、こういう好き……?」


私が余計なことを言ったからかな。キスとかハグとか、エビとか。

絢斗の頭が動く。うん、とくぐもった音が聞こえる。


「分かんないけど、でも、多分そうだよ。今ね、奈々ちゃんを守りたいって、思ったよ」

「……そっか」