ハロー、愛しのインスタントヒーロー



宣戦布告です、なんて、かっこつけたけれど。本当は明日がたまらなく怖い。明日の朝、起きたら世界が変わってしまっているのかと思うと目覚めたくないし、なんなら今日眠りにつきたくない。

私は絢斗みたいに強くないから。何もかもを捨ててしまえる勇気なんて、持ち合わせていないから。


「何で……奈々ちゃんが謝るの?」

「だって、」

「悪いのは全部僕だよ。奈々ちゃんは悪くない。沙織ちゃんに何か言われても、僕のせいにすればいいよ」


そんなことできない。絢斗に悪いから、とか偽善者ぶった言い訳じゃなくて。
沙織ちゃんは絶対に絢斗の味方をするに決まっている。たとえ絢斗が犯罪を犯しても怒らない。彼女が怒るのは、絢斗が自分から離れていきそうな時、自分の思い通りにならない時だ。恋という自分勝手な感情そのものだ。


「……無理だよ」

「何で諦めちゃうの? 奈々ちゃんは僕と一緒にいたくないの?」


愚問だ。愚問すぎる。一緒にいたいか、いたくないかなんて、そんなの。


「いたいよ……私だって、絢斗と一緒にいたいよ!」


叫んだ拍子に声がひっくり返る。泣きそうになって、情けないから顔を伏せた。


「でも無理じゃん、絢斗は沙織ちゃんから絶対に離れられないじゃん! それともほんとに家出でもするの? 無理でしょ、できないでしょ?」