おかしい。心臓が唐突に物凄いスピードでフル稼働し始めた。
男の人の裸、しかも上半身は今まで何度も見てきたし、今更思うことなんて何もないはずだ。
ましてや相手は絢斗で、どう間違っても変な空気になるわけが――
「奈々ちゃん、下は? 何着ればいい?」
「知らない! パンツのまま寝れば!?」
「えええっ……!」
結局、絢斗には私のジャージを着てもらうことになった。さすがに七分丈になってしまっていたけれど、ウエストは問題なかったようだ。
「じゃあ私もシャワー浴びてくる」
「うん! いってら……」
と、その時。
ぐううう、と鳴り響いたのは、絢斗のお腹の音だった。
「……な、奈々ちゃん、お腹空いてたんだねえ」
「だからこっちに押し付けないでくれる?」
「へへ」
つられたわけじゃないけれど、私も夕飯を食べていないことを思い出した。学校が終わってから怒涛の勢いで今現在の状態に辿り着いたのだ、仕方がない。
「……料理する気力ないんだけど」
「ラーメンは? いつも奈々ちゃんが食べてるやつ」
「私はいいけど、絢斗は……」
カップラーメンは添加物がたくさん入っているから駄目。沙織ちゃんに、昔そう言われていた。今だってきっとそうだろう。
言い淀んだ私に、絢斗が「いいよ」と苦笑する。
「いいんだよ。だって、僕もう沙織ちゃんの言いつけ破っちゃったもん」



