ハロー、愛しのインスタントヒーロー



私の言葉を遮った無慈悲な口調に、思考が止まる。


「朝イチであいつから電話がきたかと思えば、お前もか……どうせあいつに言われて俺の後をつけたんだろう」


あいつ、という単語が母を指しているのは明白だった。
十割中十割、嫌悪。相手の表情には再会を懐かしむ色など一切滲んでいないことに気が付く。


「そういうんじゃない……ただ、会いたかっただけで、」

「あいつに言っといてくれ。俺はお前のためにこれ以上、一円も出すつもりはないってな。もう連絡もしないで欲しい」


ゆっくりと、けれども確実に心臓が冷えていく。底なしの沼に沈んでいくようだ。

踵を返した父がそのまま目の前の一軒家に入ろうとするので、必死に声を上げた。


「待って……ちょっと待ってよ!」


辺りは暗いのに、赤く燃えさかっている気すらする。怒りのキャパシティーが限界を超えてしまったからだろうか。

腕を伸ばして彼の裾を引く。力強く引っ張る。


「それが娘に対する態度!? 十年ぶりに会ったんだよ? そっちが出て行ったせいでお母さんも私も大変だった! お母さんはずっと一人で私を育てて、働いて……」

「ふざけるな!」