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『この一年で絢斗との関係を終わらせて欲しいの。もうこの先、二度と会いたいだなんて思わないように』
その日の夜、布団の中で目を閉じようとして、沙織ちゃんの言葉が思い浮かぶ。鮮明に、残酷なまでにはっきりと、言われた瞬間の空気の匂いまで脳裏にこびりついている。
私が絢斗のそばにいることで絢斗に何か不利益が生じるのなら、彼女に促されるまでもなく離れる――とでも言うと思ったか。
残念ながら、沙織ちゃんの言うことを素直に「はいそうですか」と受け入れるわけにはいかなかった。
だって、私は絢斗にそばにいて欲しい。絢斗も私にずっと会いたいと言っていた。
たとえそれで絢斗に悪い影響があったとしても、今更私は彼を手放せる気がしない。
沙織ちゃんが母親としてああ言ったのなら、まだ私も悩むことができた。でも違う。
彼女は母親として心配したのではなく、私への嫉妬で発言していた。それなら、彼女の言うことを聞く義理はないはず。
ないはず、なのに。
「……絢斗のばか」
どんなことを言われてもされても、絢斗のお母さんは沙織ちゃんだ。
絢斗にとって大事な存在であることに変わりはなくて、だから困っている。
『この一年で絢斗との関係を終わらせて欲しいの。もうこの先、二度と会いたいだなんて思わないように』
その日の夜、布団の中で目を閉じようとして、沙織ちゃんの言葉が思い浮かぶ。鮮明に、残酷なまでにはっきりと、言われた瞬間の空気の匂いまで脳裏にこびりついている。
私が絢斗のそばにいることで絢斗に何か不利益が生じるのなら、彼女に促されるまでもなく離れる――とでも言うと思ったか。
残念ながら、沙織ちゃんの言うことを素直に「はいそうですか」と受け入れるわけにはいかなかった。
だって、私は絢斗にそばにいて欲しい。絢斗も私にずっと会いたいと言っていた。
たとえそれで絢斗に悪い影響があったとしても、今更私は彼を手放せる気がしない。
沙織ちゃんが母親としてああ言ったのなら、まだ私も悩むことができた。でも違う。
彼女は母親として心配したのではなく、私への嫉妬で発言していた。それなら、彼女の言うことを聞く義理はないはず。
ないはず、なのに。
「……絢斗のばか」
どんなことを言われてもされても、絢斗のお母さんは沙織ちゃんだ。
絢斗にとって大事な存在であることに変わりはなくて、だから困っている。



