OL 万千湖さんのささやかなる野望

 


 駿佑の車が走り出し、万千湖はようやくホッとした。

 駿佑が訊いてくる。

「なんだったんだ、さっきのは」

「えーと……昔の知り合いみたいです」

「みたいですって、おかしくないか?」
と追求してくる駿佑に言う。

「……昨日読んだ本に書いてありましたよ。
 女の過去には触れるものではないと」

「普通の女ならそうかもしれないが。
 お前にそんなご大層な過去があるとは思えないんだが」

 そう言われ、まあ、確かに、と思った万千湖は言った。

「わかりました。
 もうちょっとしたら、課長にはすべてお話しします」

「……何故、俺には言うんだ」

 万千湖は、自分でも、うーん? と悩んだあとで、
「呑み友達だからですかね?」
と答える。