OL 万千湖さんのささやかなる野望




 回転寿司の店から、万千湖は振り返らずに、せかせかと出て行った。

 駐車場で駿佑を振り向き、
「では、お世話になりました。
 本日はどうもありがとうございました」
と頭を下げる。

「待て」
と言われた。

「ありがとうございましたって、何処へ行く」
「えっ? 帰ろうかと……」

「何故、帰る」

「はあ。
 お寿司の約束をしただけなので、もう解散かと……。

 あっ、そうだ。
 またおごってもらってしまったので、デートの際は、ぜひ、私におごらせてください」
と言ったあとで、万千湖は気づき、また、あっ、と言う。

「すみません。
 そうだ。
 デートの打ち合わせするの忘れてました。

 打ち合わせたの、コタツに蛇口を取り付けたら、なにに使うかだけでしたね」

 ははは、と笑って、駿佑に、それは打ち合わせる必要があるのか、という顔をされる。