万千湖が部屋に引き上げたあと、駿佑も戻り、日記を書いた。
……一日を凝縮して書いたら、一行になってしまった。
しかも、昨日と同じだ。
だがまあ、誰かに見せるわけではないから。
誰にも言えない本音が書けていい。
そう思いながら、駿佑は日記を閉じ、登山用ヘッドライトを見て、キャンドルを見た。
どれも不評だったな。
今夜はスタンダードに行こう、と駿佑は停電したときのために壁に備え付けてあるスタイリッシュな白い懐中電灯を手に取る。
「いや、普通に電気つけてくださいよっ」
と万千湖が叫ぶ声が聞こえた気がしたが。
仕事と慣れない新婚生活で疲れているだろう万千湖が寝ているのなら起こしたくない。
そう思いながら、駿佑は万千湖の家の寝室のドアを開けてみた。
万千湖はもう眠っている。
……引き返すか、と思い、戻りかけたが。
万千湖は可愛い顔で眠っている。



