OL 万千湖さんのささやかなる野望

「え、えーと。
 今は無理です」

「いつならできる」

 ひーっ。
 なんですかっ。

 取り立ての業者ですか、急かさないでくださいっ。

 私に借金はもうないって言ったの、あなたですよ、と身を引きながら、万千湖は、どうしていいかわからずに混乱する。

「明日か?
 あさってか?」

「ひゃ……

 100年後くらいならっ」

 つい逃げながらそう言ってしまい、怒られるかな、と思ったが、駿佑は笑って言った。

「じゃあ、100年後も一緒にいられるな」

 赤くなった万千湖の前で、駿佑は真っ暗な窓の外を、今は飛んでいないジョウビタキの姿を探すように見て呟く。

「……あいつも、冬になるたび、100年突っ込んできそうだが」