OL 万千湖さんのささやかなる野望

「いえ、知らないんですけど。
 指輪はやってなかったですね」

「なにが禁断の恋なの?」
と安江が訊く。

「だって、その人、イケメンじゃなかったのよっ。

 イケメンな人と結婚したら、少々喧嘩しても許せる気がするから、絶対、イケメンと結婚するって思ってたのにっ」

 いや、幾らイケメンでも、腹立つときは腹立ちますよ……と思いながら、万千湖は聞いていた。

「早く、好きにならないようにしなければ……」
と呟く瑠美を見ながら万千湖が言った。

「それはすでに恋なのでは……」

 すると、こくりと頷き、安江が言う。

「そうね。
 万千湖に見抜かれるくらい、完全に恋ね」

 あの、何故、いちいち、私をディスりながらアドバイスするのですか……と思いながら、万千湖は安江を見る。