「ある日、泊まりがけの出張に出て帰ってきたら、玄関にカフェの前にあるみたいな黒板があって。
『Welcome!』
って、文字の下に、いや、お前は作れないだろ、と思う感じの小洒落た料理がチョークアートで描いてあったんだ」
……料理は苦手だが、ああいうのは得意なんだよな、と駿佑は呟く。
「おい、ここは俺の家だよな、と思いながら中に入り。
万千湖の住まいのドアを開けようとしたら――」
「待って」
と綿貫が駿佑の話を止めた。
「まだ別々に住んでるの?」
「基本、別々に住んでいる。
それで、毎夜、お互いの家を訪ねている」
「いいね。
ある意味、毎晩、夜這いをかけあっているわけだね」
と雁夜が大きく頷いた。
……いや、お前、大真面目な顔でなに言ってんだ。



