OL 万千湖さんのささやかなる野望

 また駿佑は普通に運転をはじめる。

 ……えーと、今のは、と思う万千湖に駿佑が言った。

「結婚式まであと少しだな」
「そ、そうですね」

「夢のようだな」

 棒読みなんですけど。
 なにがどのように夢のようなのですか。

 悪夢ですか……?
とネガティブになりかけながら万千湖は、こちらを見てはくれない駿佑の整った横顔を見る。

 ……いや、運転中なので見てなくて当たり前なのだが。

「結婚式までに、お前と一度も触れ合っていないというのは問題がある、とずっと思ってたんだが。

 何故だか、なにもできなかった。

 それどころか、お前を名前で呼ぶこともできない。

 何故なのか、ずっと考えてたんだ」

 駿佑はそのまま、黙って運転している。

 なにを考えてたんですかっ。

 どのように考えてたんですかっ。

 私は、今、ここに座ってても大丈夫ですかっ。

 緊張のあまり、万千湖の頭の中が暴走しかけたとき、駿佑が言った。