OL 万千湖さんのささやかなる野望

 万千湖の部屋のドアをノックする。

 が、返事はない。

「白雪? 寝たのか?」
と呼びかけながら、駿佑はノブを回してみた。

 鍵はかかっていなかった。

 ……これは『入ってきて』ということだろうかと駿佑は思ったが。

 実は万千湖はこのドアに鍵をかけたことがないだけだった。

 受け取りようによっては、いつでもウエルカムな行為だが。

 もちろん、万千湖はなにも考えてはいなかった。

 ……夫婦になるのだから、入って行ってもいいとは思うが、怒られないだろうかな?

 白雪に確認しようにも。

 なんかもう、家の中、暗いし。

 あいつのことだから、一瞬で寝てしまったのかもしれないな、と思う駿佑は気づいていなかったが。

 実は駿佑は、結構長い時間悩んでおり。

 万千湖が部屋に入ってから、すでにかなり時間が経っていた。