ふふ、と微笑んだ万千湖をまた、なに考えてんだ、こいつは……という目で駿佑は見ていた。
トゲトゲ指輪について考察している万千湖の前で、駿佑が悩んでいたのは席順のことではなかった。
……もう式はすぐそこまで迫っているのに。
そういえば、キスもしていないっ、と気がついたからだった。
駿佑は、ぼんやり考え事をしたり、突然、青ざめたり、ホッとしたりしている不思議な万千湖を眺めながら思う。
こいつが自分からロマンティックな雰囲気を作ってくることは、まず、ないな。
俺が作らねばならないのだろうが、もちろん、そんなものは作れない。
……どうしたらいいんだろうな?
俺たちはもう、保険会社も認めた、『お互い婚姻の意思を持ち、同居している、社会的には夫婦と認識されている二人』なのにっ。



