「ねえ、あんた、土曜暇?」
次の日、万千湖が仕事をしていると、真横にいきなり、増本瑠美が立った。
「みんな都合がつかないんだけど、あんた、暇?」
「……ものすごいわかりやすい理由で誘ってきますね」
と万千湖はキーボードを打つ手を止め、振り返る。
土曜は……と万千湖は頭の中でスケジュール帳をめくってみる。
スケジュール帳は、ほぼ真っ白。
会社へ行く時間以外のすべての時間が自由時間だ。
万千湖はにんまり笑って言った。
「暇です」
「そう。
よかったわ。
ランチ、付き合ってよ。
ちょっと行きたいところがあるの」
おごってあげるわ、と瑠美は言ってくれる。
「いえ、いいですよ」
「先輩がおごってあげるって言ってるのよ。
おごられなさい。
いつか出世払いで返してくれればいいから」



