OL 万千湖さんのささやかなる野望

 


 雁夜のそんな話を聞きながら、駿佑はちょっと悩んでいた。

 今の婚約指輪は、自分で買ったとはいえ、親に押されて買ったようなもの。

 俺は俺自身の意思で、こいつに指輪を買ってやりたい。

 これとはちょっと違う。
 年をとっても使える落ち着いたデザインで。
 なおかつ、今の白雪にも似合うやつとか。

 駿佑は、万千湖の薬指の指輪を見つめた。

 指輪を見つめた……。

 指輪を見つめた……。

 万千湖が、ひいっ、切り落とされるっ、という顔でおのれの左手を押さえる。

「どうしたの、駿佑。
 指輪、ガン見しちゃって」
と雁夜が訊いてくる。

「いや、この指輪は親に脅迫されて買ったから。
 違う指輪を買ってやろうかと」

「あら、もう一個買ってもらえるんだって。
 よかったじゃない、万千湖」
と瑠美は言ったが、綿貫は、

「でも、結婚指輪ももう買ったんだよね?」
と言う。