OL 万千湖さんのささやかなる野望

「ずっとお前の日記に登場していたい。
 お前と近くなりすぎて、空気のような存在になってしまっても。

 お前の日記の片隅にでも。
 一週間に一度でも。

 俺の名前が出てくるなら、俺は幸せだ」

 なんですか、その突然のマイナス思考……。

「俺はずっとあの家でお前と暮らしたい。

 ……激突する鳥や狸より、お前と暮らしたい」

 私はいつから、激突する鳥や狸と課長と暮らす権利を争っていたのでしょう、と思いながらも、万千湖は言った。

「ありがとうございます、課長っ。
 大好きです。

 夢のようです。
 信じられません。

 宝くじ三千円当たったときよりも、家が当たったときよりも」

 いやそりゃ、三千円よりは上でしょうよ、という顔を瑠美が横でしていた。