OL 万千湖さんのささやかなる野望

 ちょうど昼休みが終わり、戻ってきた人々が、口々に呟いている。

「あの課長があんなこと言うんだ?」

「やばい。
 結婚したくなってきた……」

「やばい。
 仲人したくなってきた……」

「年とってもデートしたい、かあ」
 わかるわあ、と瑠美がうっとりと呟く。

 万千湖の手を握った駿佑が万千湖を見つめ、言ってくる。

「今の家が古くなったら、今度こそ――

 寿司屋の蛇口のついた家を建てよう」

「課長……」

「……そこは、わからないわあ」
と瑠美が呟いていた。

「ま……

 白雪」

 だから、『ま』はなんなのですか。

「俺は……お前のファンじゃないが。
 お前と幸せになってもいいか」

 課長……。