OL 万千湖さんのささやかなる野望

 脳というか、感情か。

 駿佑は恥と照れと不安を捨て、仕事のときのように判断していた。

 保険の内容を切り替えるなら今だ。

 白雪も運転できるようにするためには、本人・配偶者限定にするのが一番いい。

 俺はどうやら白雪が好きらしいし。

 あの家にも白雪としか住むつもりはない。

 だったら、結婚するのが一番だ。

 仕事モードの駿佑の脳はその決定を下した。

 白雪には断られるかもしれないが。

 なにもしないより、した方がいい。

 倒れるときは、常に前のめりであるべきだ。

 仕事モードの駿佑はそう思っていた。

「昼過ぎに保険の人が来る。
 白雪は何処だ?」
と駿佑は立ち上がる。

「えっ? 今からっ?」